ドロップアウトなう。

鬱のリハビリで始めたドロップアウト研究者(P.N.室屋キチジロー)のブログ。思考記録、諸々の雑感など。建築/歴史/民俗/デザイン/近代化遺産etc.

ゾンビ・赤ペン先生・手負いのクマ

仕事が原因で鬱をやって考えたこと

ブログ本編の1稿目です。今回は僕が鬱になって仕事をやめることになった原因について、考えていることを書きたいと思います。

 

以下のことは恐らく日本で会社組織に在籍して労働する方には「あるある」かもしれませんし、僕が以前勤めた会社を批判・糾弾することを目的としているわけではありません。あくまでも「こういう状況が改善するといいよね」・「どうにかしなきゃいけないよね」という問題意識の共有と、「どうすれば良くなるの?」という解決方法を模索する土台になればと思っています。

 

また、かつての僕と同じように仕事で追い詰められている方がいれば、共感や気持ちの整理に役立てればと思いますし、結局僕は処方箋を見つけられなかったので、読んでいただいた方のお力も借りながら議論ができるとうれしいです。

 

 

ゾンビ、赤ペン先生、手負いのクマ

さて、僕が鬱になったのは初めて解体から修理まで担当したプロジェクトが、極めて準備不足のうちに発進しまったことに起因します。残念ながら僕がそのことに気がついたのは工事開始以降のことでした。(とは言っても初めて担当していたので僕には防ぎようがなかったように思いますが…)

 

通常、文化財建造物の修理事業は十分な調査と修理設計を行った上で、解体しながら判明した事項を踏まえて設計をバージョンアップさせて行います。しかし僕が担当したプロジェクトの場合、予算の関係から数年前に他社が行ったいわば「ざっくり調査」をもとにせざるを得なかった上、工期の関係から解体と移築先での施工の一部が同時に行われる事になってしまったのです。

結果として解体・調査・設計・施工が同時進行する極めてタイトな現場になってしまい、しかも他の仕事が立て込んでいたために会社からの補助はあまり期待できず、基本的には初めてやる僕1人で、解体と施工とによって尻に火をつけられて調査と設計を行うという状態でした。

これだけでも大変だったのですが、タイトな現場は人の神経をすり減らすようで、次第にプロジェクトの関係先のうちの1人から過剰な嫌味や叱責を受けるようになりました。(この方の人格にも相当問題がありましたが、当然原因の一端は僕達のプロジェクトの準備不足にあります)

 

ある程度は頑張っていたのですが、工事開始から半年ほど経って、心身に不調が現れ始め、結果として僕は過労とモラハラでの鬱、ということになりました。

 

これらの経験から、組織の内外における問題点について考えるようになりました。

そこで考え至ったのが3種類の「悪い思考停止」の存在です。即ち『ゾンビ・赤ペン先生・手負いのクマ』です。

 

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Ⅰ.ゾンビ

思考停止の最も基本的な形です。特に善意も悪意もありません。

忙しすぎる労働環境の中で余裕をなくし、考えるのをやめてしまった人・考えられなくなってしまった人です。視野が狭まってしまうので、目の前の作業については必死になって頑張っていますが、「しんどさのやってくる構造」には目が行かず、根本的な解決には至りません。それでも頑張るので場合によってはパンクしますし、基本的にストレスの原因から逃げるのが下手です。

 

今回の例はサラリーマン研究員時代の僕です。

 

Ⅱ.赤ペン先生

マネジメントをしない、又は十分に行わない管理職です。

これは下のリンク記事を読んでいて考えつきました。

多くの場合善意も悪意もありません。そもそも多くの日本の会社の管理職に共通することのようですが、管理職の仕事を成果品のチェック役だと思っていて、本来最も求められるべき「部下の仕事の制度設計」に目が向いていないのです。

 

つまり 『成果品のチェックしかしない人=赤ペン先生』 です。

厄介なのが、本人的には自分の管理職としての仕事をしっかりやっている気になっている場合が多いことや、管理職にある人物自身が「部下の仕事の制度設計」をする暇もないほど、プレイヤーとして忙しい場合が多いことです。

 

今回の例はサラリーマン研究員時代の僕の上司です。

www.huffingtonpost.jp

 

Ⅲ.手負いのクマ

今回挙げた3つのうち唯一の悪意のある思考停止です。

自分に余裕が無いときに、他者攻撃的になることで自分を守ろうとする人のことです。

揚げ足取りやモラハラなどを行います。多くの場合、基本的には正しいことを言っていますが一方的な見地に立っている場合が多く、問題が起きても自分の身を守ることを優先するあまりに協力的にならないため、「手負いのクマ」がいると物事がスムーズに進みません。時間的余裕よりも精神的余裕との相関が強いと思われます。

 

今回の例は関係先の某氏です。

 

準備・余裕・自覚と処方箋

以上の3つ、いかがでしたでしょうか。

半分は当たり前のことの確認、半分は僕の思いつきのつもりで書いている内容ですが、「ゾンビ・赤ペン先生・手負いのクマ」というワードは結構うまく言い当てられているんじゃないかなと思っています。

 

いずれにしても最も大事なのは仕事の制度設計による事前の準備と、そのための精神的・時間的余裕を確保すること、各人の役割をきちんと把握し自覚することにあります。

 

僕がいたのは建築業界ですから、関係者も多いし金額も大きいうえ、請負業のジレンマとして、とりあえず仕事を受けてしまってから話を進めようとするために、人手不足や苛烈な労働環境になってしまっている節があります。

ちなみに昨年末に発表されたブラック企業大賞2017には建築関連業界から2社がノミネート、うち1社が特別賞を受賞しています。(以下参照)

blackcorpaward.blogspot.jp

 

これらのことを踏まえて「ゾンビ・赤ペン先生・手負いのクマ」のような人を減らす、又は作らないためにはどのような処方箋が必要でしょうか。建築業界や日本の会社がブラック化する構造については僕のような若輩者よりも詳しい方がたくさんいらっしゃると思いますので、ぜひご教示いただきたいです。